山本氏の「ねずてん物語序説」を読んだとき、本当だと直感した。
大分前になるが、NHK教育テレビで北海道の炭鉱事故を扱った番組があった。
その番組をよく覚えていて、その内容がすぐに「ねずてん物語序説」と繋がった。
炭鉱事故が起こった場所は忘れてしまったけど、事故直後に信じられない事が起こっている。
炭鉱の構内で爆発炎上が起こり多くの作業員が焼死してしまう。
無事だった作業員などが亡骸を運び出し、戸板などに乗せ自宅まで運んでいる最中だった。
痛ましい亡骸は全身焼けただれ、肉の焼ける臭いが周辺一帯に広がっていた。
そんな時、今まで見たことのないほどの数の狐が集まってきたそうである。
痛ましい亡骸を戸板で運んでいると、それに狐が集まりどんなに追い払っても、また戻って来て、遺体の側から離れようとしない、それの連続だったそうだ。
もっと酷いのになると、狐は家の中に上がり込み悲しみに暮れる家族を無視し、亡骸を安置した布団の側にまで来たという。
そのようなことが、あちこちで起こった。
狐が油揚げが好物だという話は、嘘とはいいきれない何かがある。
先人達が狐との長い関わり合いの中で、きっと何かがあったに違いない。
これ以上書くと、狐を眷属とする「山の神」から渓流に出入禁止になりそうなので止める。
ホントにそう思っている。
これを書いた夜、夢を見た。
見知らぬ誰かとオレは商談していた、彼の要求をオレはノラリクラリと避けていた。
その時電話が掛かってきた。
オレはワザと受話器を取ろうとはしなかった、呼び出し音が鳴り止み少しの時間を取って受話器を取った。
切れたと思っていたが、繋がっていた。
受話器の向こうから「商談が成立するよう、お待ちしております」と、酷くユックリとした調子で、とても丸みのある声だった、それだけ告げると切れてしまった。
とても鮮明な夢で、オレは目が覚めた。
これを書いた事と何か関係があるような気がしてならない。
どうもオレは彼らの条件を飲まなければならない立場にあるらしい。
【参考資料】 山本素石著「山本素石傑作集 山釣り」朔風社(廃業している)
「日本の神々と社」読売新聞社