昭和49年、1974年、第二次ヒマラヤ雪男探検が行われた。
前回、雪男と思われる足跡を発見したが、追跡できず断念している。
登山家だけの編制では雪男発見には限界があるとして、第二次ヒマラヤ雪男探検では阿仁マタギ四人を参加させている。
探検隊は谷口隊長以下11人、阿仁マタギは鈴木松治氏(56歳)、鈴木辰五郎氏(73歳)、佐藤伝蔵氏(不明)、西根正氏((54歳)で探検隊を組んだ。
ネパールの第一キャンプで辰五郎氏と佐藤氏が高山病のため帰国している。
ヒマラヤに行ってビックリ奥羽山脈と比べ、その圧倒的スケールの大きさに初日から度胆を抜かれた、鈴木氏は奥羽山脈の何百倍といった表現を使っている。
二人が高山病で帰国してから、松治氏は心細くなり毎晩葬式のゆめをみたが彼は踏ん張った。
で、肝心の雪男だけどエベレスト南壁で二種類の足跡を発見、一つはシカでもう一つは爪痕も無く皆が雪男だと興奮した。
しかし、松治氏は猿だと思った、ベースキャンプの下に猿がいたし、離れ猿には大きいのがいるらしい。
ホントのことは分からないけど、オレは狩猟のプロである松治氏の鑑定が正しいと思う。
プロは一瞬で判定する、時間を掛ければ良いという物ではないと思っている。
プロの思考回路と、素人の思考回路は同じではない、全く違う。
カリスマと呼ばれる人がいる、根拠を尋ねられても無視できる人、それがカリスマだ。
〝これはこうだ〟、といいきれる人がカリスマであり、どちらかというとシャーマンに近いのかもしれない。
結局、四ヶ月いたが雪男は発見できなかった。
ベースキャンプにグルン族の村長がよく遊びに来ていて、猟師のことを「シカリ」というのだそうだ。
マタギでは統領のことを「シカリ」と呼ぶ。
何か共通するものがあるのかもしれない、偶然とはいえ面白い。
【参考資料 「最後の狩人たち」長田雅彦著 無明舎出版】
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【「最後の狩人たち」長田雅彦著 無明舎出版】
1977年に初版発行されている、今読んでも面白い。
マタギにとってシカリと山の神は絶対的な存在だ。