【恥ずかしい間違いの始まり】
これは昔々の真冬の出来事だ。
クシャミをするとモーレツに肛門が痛み出すようになった。
こ、これは一体何なのだ、一時的に動けないほどの痛みだった。
それなのにオレは、脳天気に暮らしていた。
で、ある日の朝起き上がろうとすると、脳天直撃クラスの痛みが肛門を襲った。
痔だった。
痔になって判ったことがある、それは筋肉は他の筋肉と綿密に連携していることだった。
少し動くにも激痛を伴った、しかたないのでソロリソロリとナメクジのように動いた。
【医者は嫌いだ】
この激痛地獄から解放されるには、ダーィ嫌いな病院に行くしかなかった。
オレは自慢するわけではないが、注射が嫌いなのだ。
なので、すぐ注射器を引っ張り出す医者が嫌いなのだ、さらにオレは血を見るのが卒倒するくらい嫌いなのだ、ついでに言うとトマトも嫌いだ。
すぐに妹に仕事を休んでもらい、大嫌いな病院に連れて行くように頼んだ。
なにせ真冬の道路は圧雪路で凸凹している、オレは悲鳴を上げながら長距離を移動した。
その病院ではすでに多くの患者さんで溢れかえっていた、オレはその日の夕方まで待つことになった。
【初めてのナプキン】
溜まった膿が神経を圧迫していて、簡単な手術ですんだ。
手術のあとに付ける鮮やかなピンク色の、クリーム状になった軟膏をもらってきた。
お医者はサラシでふんどしを作って、患部から薬がはなれないようにしろと、説明を受けた。
ふんどしを作るのが面倒なオレは、知人が雑貨担当のお店に行って、ふんどしの代わりになるものがないか尋ねた。
「これはどうだ?」といって渡されたのが、忘れもしないロリエ・オーバーナイトで、女性が使うナプキンだった。
オレはとにかく、試しに買うことにした。
前置きが長くなったけど、これが間違いの元だった。
本題に入る。
【ナプキンと両面テープ】
当たり前だけど見るのも、触るのも、使うのも初めてだった。
痛みも取れ、リラックスでき寝ることにした、布団を敷いて軟膏を塗る準備をした。
おもむろにナプキンを取り出すと、両面テープが付いていた。
両面テープのシールに驚くほど小さい文字が印刷されていて、オレは読んだ。
そこには「このシールを剥がし、シーツに貼り付けて下さい」と書かれていた。
これが間違いスパイラルの出発点だった。
早速オレは、シールを剥がしシーツにナプキンを貼り付けた。
そして、軟膏をナプキンに盛り付けようとした。
オレはフト疑問を持った、チョット待てよ・・・・。
オレはこの上に自分の尻を乗せる、で寝る・・・でも寝返りするよナー。
ソウすると薬がケツから離れる・・・なんかおかしい。
世の女性達は寝返りしないのだろうか?
イヤイヤそんなことはないはずだ。
【おバカなオレ】
何度もナプキンをシーツから付けたり取ったりしていると、毛羽が着いて両面テープが着かなくなってしまった。
何かが間違っている。
オレは最初からやり直すことにした。
両面テープのシールを剥がす、そしてシーツに貼る・・・ヤッパおかしい、何かが間違っている。
何度やっても、やっぱりおかしい。
何かが間違っている、何が間違っているのだ?
オレは深呼吸し、何度か目のやり直しをした。
両面テープのシールに書かれた、小さな文字をユックリ読んだ。
「この両面テープのシールを剥がし、ショーツに付けて下さい」?????。
ショ、ショ、ショーツ??!!!
ようやくオレは小文字の「ヨ」を認識した。
オレは「ショーツ」を「シーツ」と読んでいたのだ。
大体において、普通の生活で「ショーツ」の単語は、たぶん一度も使ったことがない。
「パンツ」って書けよナー、と思ってしまった。
か、書いてしまった、こんなこと書いていいんだろうか?
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【ACCA-13区 監察課】
最近のアニメと違って、少し毛並みが違う。
けれど意外に面白い。