By The Sea

初めての渓流釣りの人へ、街の喧騒を離れ出かけよう

生まれて初めて買ったカメラCONTAX G1

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Biogon2.8/28 今でもSONY α6000に付けて使っている

親父は長年PENTAX一眼レフカメラを使っていた、自分はそれほどカメラや写真には興味が無く、富士フイルムの使い捨てカメラなんかを使っていた。

結婚してからはカミさんのコンパクトカメラを使って撮影をしていた、当時は35ミリフィルムで写真屋さんでの現像やプリントなどは全てカミさん任せ、自分は一度も写真屋さんには足を運んだことはなかった。

 

けれどもカミさんが妊娠すると、家族の記録を残したくなった、突然にだ。

で、カミさんと相談でカメラを買うことになった、チャンとしたカメラをだ。

カメラは手動でピンと合わせるモンだと思っていた、親父のカメラがそうだったから。

カメラに詳しい会社の同僚にそのことを言うと、笑われた・・・・。

同僚は笑いながら今の一眼レフはほとんどがピント合わせを含め自動化しているのだそうだ。

 

オレは狂喜した、アノ面倒くさいピント合わせをやらないで済むのだ、さらに得体の知れない露出の設定もカメラがやってくれるとあっては正に自動化サマサマだった。

 

夏のボーナスでカメラを買うことにしたオレは親父が買ってくる雑誌にCONTAX TVSの記事が載っていて、その記事が頭の隅に残っていて迷わずCONTAX TVSを買うことにした。

カミさんのコンパクトカメラを使い続けたため、ポケットに入りそうな大きさは、いたく気に入った。

カミさんの父親はカメラを趣味にしていて、デッカイNikon一眼レフカメラを持っていたせいで高価なCONTAX TVSを買うことには反対はなかった。

 

生まれて初めてカメラを買いに行った。

ショーケースには一眼レフカメラがズラリと並んでおり、どれもが「高機能です」「高性能です」、みたいなツラ構えをしててオレはタジロイだ。

そして、一番端に「俺って、ヒョッとしたらカメラかなー」みたいな感じのカメラがあった。

照明のせいだろうか、そのカメラは薄ーいシャンパンゴールドに光ってた。

そのたたずまいとサイズに心を動かされてしまった。

 

カメラの名前は「CONTAX G1」、京セラのナントか記念セットで素敵な木箱に入っているカメラで、店員の丁重な説明によると必要な物は全て揃っている記念セットらしかった。

カメラ本体、レンズ3本、レンズフード3個、レンズケース3個、ストロボ、購入を決める決定打はお値段、展示品処分価格はCONTAX TVS購入を粉砕してしまった。

 

家に持ち帰って丁重に梱包を解き、カメラのキャップを恐る恐る外すとミラーがない!、チャンとしたカメラにはミラーがあるものだと思っていた。

オレは焦った、高価な買い物したカメラにはミラーが無かった。

次の日からカメラ雑誌を買い漁った、本も買った。

分かったことはオレのカメラは「レンジファインダーカメラ」だったことだ、今更返品もできず高額な投資を無駄にはしたくは無かった。

雑誌の記事は全て一眼レフカメラの記事であり、専門用語で書かれた記事は何が何だか理解できずに気が萎えるばかりだった。

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子供と一緒に行った公園 Planar 2/45 とにかくこのレンズの空気感が好き

 

分からないなりにも雑誌の記事を読み続ける日が続いた、そのうちに何となく解り始めた。

カメラにフィルムを初めて入れたのは大分後になってからだ、震える手でフィルムをセットした。

とにかくフィルムを入れたCONTAX G1を持って建設中の橋に行って撮影をした、覚えているのは最初の1枚でその後の撮影はオカシナ事に記憶が無い。

 

生まれて初めて現像とプリンをしてもらい渡されたプリントを見て驚いた、今までのプリントとは全く違う世界がそこにあった。

ラボの親父に「写真上手いねー」って言われてオレはさらに舞い上がった。

社交辞令だったにせよ、嬉しかった。

使ったレンズはプラナー45㎜、妻を撮った1枚は衝撃的だった。

絞りは開放近くを使ったらしく綺麗にボケて、妻の赤い服は現物とは少し違っているけど、それが一枚の絵としてプリントされた世界は明らかに別世界の色の世界だった。

オレは夢中になった、オレはこんな綺麗な世界に住んでいたのかと、そう思った。

 

使用したフィルムは雑誌で評判の良かった富士フィルムの「リアラエース100」、ほとんどの撮影は「リアラエース100」と「プラナー45㎜」の組み合わせだった。

ビオゴン28㎜はバリバリに発色したけど広角の使い方がよく分からなかった。

ゾナー90㎜は良くいえば「優等生」悪く言えば「平凡」だったが時々ホッとするような色の世界を見せてくれた。

 

プラナーは時々ではあるけれど、独特の透明感のある世界を見せてくれた、それがツァイスのいう空気感なのだろう。

リバーサルフィルムはほとんど使わなかったけどG1のツァイスレンズはほんの少しアンダーよりになっているようで気になった。

 

話を元に戻す。

当然ながら毎度毎度良い写真は撮れない、どんな条件かは知らないけどあまりに平凡すぎるのもあるし、美しい写真にする条件も知らない、それが初心者なのだろうけど、美しいプリントを見たいばっかりにどこに行くにもCONTAX を手元に置いた。

ピントが少しばかり外してもそれほど気に掛けなかった、オレにとって最も大切な物、確信は無いけどそれは「色」だったような気がする。

子供の頃からド近眼だったオレはハッキリ見えないこと自体が普通だった、だから「色」に惹かれるのかもしれない。

 

子供を撮るのは楽しかった、めまぐるしく変わる子供の表情は見ていて飽きなかった。

CONTAX G1のわずかながらタイムラグのあるシャッターは「その時」では遅すぎた。

ナニが何でも「その時」を先読みする必要があった、それは何もない空間に矢を射るようにシャッターを押す感覚、言葉にすればそんな感覚としかいいようが無い。

「その時」を見事に射ることが出来たときはホント心底嬉しかった。