【真冬の深夜】
その頃、オレは酷く落ち込んでいた。
何もする気になれず、毎日が灰色の日々を送っていた。
そんな二月の真冬の深夜、オレは酷くうなされていた。
オレは唸って寝ていた、酷く苦しかった。
外では滅多に吠えない愛犬が吠えている、それでもオレは起きられなかったし、目を覚ましたくなかった。
寝ているのになぜか遠くから雪玉が飛んでくるのが見える、ドンドン近づいてくる雪玉は人格を持っていた。
鬼軍曹みたいな甘えを許さない、極めて厳格な人格を持っていた。
その雪玉がオレの寝ている部屋の窓ガラスに激突した、「バーン」と大音響がオレの意識を揺さぶる、激しく飛び散る雪の飛沫がスローモーションのようにハッキリ見える。
それでもオレは目を覚まさなかった、誰かがオレの部屋の窓に雪玉を投げている。
朦朧とした意識で、あの雪玉を思っていた。
二つ目の雪玉が飛んでくるのが見えた、暗い真冬の夜空を背景に真っ白な雪玉が飛んでくる。
厳格で威厳に満ちた雪玉が再度窓ガラスに「バーン」と当たった。
激しく窓ガラスが揺れた、オレはついに目を覚ました。
【枕元】
誰か雪玉を投げている、オレは起き上がろうとした。
その時、誰かがオレの枕元に立っていた、一人ではなかった、二人いた。
一人は少し濃いめの灰色のマントを身にまとい、一人は茶系統のマントを身にまとっていた。
突然の侵入者に驚き、視線を上げようとしたと同時に、視線と同調するかのようにスーッと足下から消えてゆく。
オレは急いで顔を見ようとしたと同時に、二人の姿は消えてしまった。
マントのフードの中の顔は暗くて、よく分からなかったような気もした。
直感的に彼ら二人が誰かが分かった、デッカイ草刈り鎌は持っていなかったが、すぐに分かった。
お互い自己紹介したわけではないが、二人は○神だった。
【混乱】
オレは混乱していた、一体何が起こったのだ。
オレの枕元に立ったのは、紛れもなく○神だ、豪勢にも二人、大盤振る舞いだ。
どうやら確実に、オレの息の根を止めようとする魂胆らしかった。
オレは深い溜息をついた。
吠えていた愛犬も鳴き止み、真冬の深夜は珍しく月明かりが出ていて、雪を照らしていた。
オレは毎日泣いて暮らす生活に、見切りを付けなければならなかった。
オレは生きる気力を無くしていたから。
それからしばらくして、奇妙なことが起こりだした。
話はまだ続く。