(2月の初めだったと思う、海で釣った桜鱒とにかく寒かった)
4月だったと思う、川のサクラマスを釣りに行った。
小雨が降る中、釣りをしたが全く釣れない、少し上流の神社がある所に釣り場を変えた。
神社があるせいか空気がピーンと張り詰め非常に静かだったことを覚えている。
サクラマス用のロッドは持っていないためシーバスロッドにスミスから発売されているミノー、チェリーブラッド・ディープ90を付けて流れの緩い深場を探っていた。
釣っていると何か近くで音がする、カラカラといった乾いた音だ、最初は気に掛けないでいたがどうも川の中からその音が聞こえてくるみたいだ、一人ぼっちで釣っているせいか突然怖くなり始めた。
「カラカラ音」がオレに向かってくる、恐怖のためリールを巻く手が止まった。
と、同時に「カラカラ音」も消えた、もしかしてと思いキャストしリーリングするとあの音が聞こえる。
何てことはないミノーに内蔵された重心移動の鉄球の移動音だったのだ。
他のメーカーのミノーに変えても「カラカラ音」がした、確かなことは分からないが水温とかの関係で音が屈折し水面上に出たのだと思う。
ビックリするくらい明瞭な音で、後にも先にもアレが最後だと思う。
人の目から見るとミノーは小魚だけど、魚から見てもホントに小魚だろうかと思うときがある。
魚がミノーに食いつく動機は意外と他にあると思える瞬間がある、上手くはいえないがそう思える瞬間が確かにある。
魚達は釣り糸を見るといわれている、魚達も潜水艦と同じく数多くの種類の水中音を聞き分けているに違いない。