大分前になるがイワナ釣りに行ったときのことだ、谷に小さな橋が架かっていてチョット目眩がするくらいの高さで下にはさほど大きくない深めの渓流が流れていた。
ある日その橋を渡っている最中、ごく自然に真下を流れている流れを見た。
見た瞬間、目が釘付けになった。
1メートルはありそうなイワナがユックリ上流目指して泳いでいる、たぶんイワナだと思う。
デ、デ、デカイ。
そいつは15匹くらいのお供を従え悠然と泳いでいる、お供はそいつの前に出ようとはしないで両脇から後ろにかけて付かず離れず泳いでいる。
なんなんだコイツらは、イワナだという観念が崩れてゆく。
お供のサイズはヤツの1/10位だ
人里から離れてはいるけど鯉かなとも思ったが受ける感じが違う、サクラマスの厚みもない、イワナであって欲しい
オレはとっさに周りを見渡した、10㎝くらいの小枝が目に入った、時間の余裕がなくとにかくその小枝をを落としてサイズを確認する事にした。
悲しいことに軽い小枝はクルクル舞いながらか下流に落ちて行く、その間にもメーター級は上流に優雅に上って行く。
サイズは確認出来なかったけど悠然と泳ぐ姿は孤高の山に咲く花のように美しかった、そしてどんなに望んでも手の届かない存在で威厳に満ちているようにも見えた。
アレは本当にイワナだったのだろうか。