By The Sea

初めての渓流釣りの人へ、街の喧騒を離れ出かけよう

直感力と戦争そして釣り

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ドイツ側から見た戦記、戦争後期の苦悩する描写は読んでて辛い

釣りで最も大切なことは直感力だと思っている。

釣り場で真っ先にする事は何でもいいから「感じ取る」こと、ナンかざわめいているとか、妙に静かだとか外れてもいいから、とにかく「感じ取る」こと。

それから考える、今日はこの方法でいこうとか。

釣りに限らず感じ取ることは大切だ。

 

生死をかけた戦場ではこの「直感力」が重要な位置を占めているような気がする。

ドイツ海軍はイギリスの海上の補給路を絶つために潜水艦・Uボートで補給船を攻撃し多くの戦果を上げる。

追い詰められたイギリスは対Uボートの戦術をなんとしてでも開発する必要に迫られた。

1942年イギリスは最もシンプルな方法を考え出し実行した。

無線探知を短波にまで拡張する事、ハフ・ダフ(HF/DF)と呼ばれる高周波方位探知装置でUボートが発信する無線を捉えUボートの位置を特定する方法を考え出した。

 

この事を知らないUボートは船団の発見や損害、現在位置を短波で報告する、イギリスはその電波を捉え位置を特定し攻撃する方法をとった。

この方法はかなり有効であったみたいで、これ以降Uボートの損害が多くなり始める。

レーダー圏外の浮上しているUボートも位置を特定され、ドイツ海軍も有効な対策をうてず結局、戦後までハフ・ダフの存在を知らなかった。

 

大戦中の1943年、同盟国である日本から一隻の潜水艦「イ8号」がドイツ訪問のため呉軍港を出航する。

無事にドイツ占領下にあったフランスのブレスト港に入港する。

日本人将校がパリ見物なんかするモンだから、アッという間に噂が広まり連合国軍は帰してなるものかと全力を挙げて、イ8号の索敵網を敷く。

 

10月5日午前3時、イ8号はヒッソリと出航した。

無事を確認するためドイツへA・B・C・D点でイ8号は打電する予定だった、しかし内野信二艦長は、何か危険を感じA点では打電しなかった。

ドイツ側からは交信の要求が来ていたが、あえて内野艦長はドイツ側の要求を無視しA点を通過している。

電波のことはよく分からないけどこの時、電波を出していたらハフ・ダフによって位置を特定されていたかもしれない、内野艦長の直感は正しかったと思う。

たぶんこの事が功を奏したのだろう、血眼で探す敵の索敵網をかいくぐり無事イ8号は帰投することが出来た。

5回に渡り日本はドイツへ潜水艦を送るが、成功したのはイ8号一隻だけである。

 

参考資料・ペーター・クレーマー著/井坂清訳 「Uボートコマンダー」 ハヤカワ文庫

     佐藤和正著 「艦長たちの太平洋戦争」 光人社