【初めての入院(^_^)】
1月12日診察してもらい、そのまま入院する事になった。
オレは驚き狼狽した、今まで入院なんかしたことがなかったからだ。
カミさんに連絡を入れた、カミさんは長いこと介護の仕事をしていたので、テキパキとオレに指示を出し、オレはそれに従った。
で、カミさんはパンツなど洗っている暇などないので、紙おむつを履けというのだ。
スリムタイプの紙おむつを凝視しながら
「こ、こ、これを履けというのか」他にパンツなど洗ってくれる人などいないので、オレは従うしかなかった。
オレは着替え、夕食を終えナニもすることがないオレは、寝てしまった。
恐怖の長い夜が始まった。
【悪夢の入り口】
眠りに入るのはほぼ一瞬だった、眠りに入ると瞬時に夢が始まる。
いろいろな人が出てきた、昆虫人間、トカゲ人間、みたいのまで出てきた。
「やあ、こんにちは」で始まって会話が始まる、最後は「それじゃ、元気で」で、覚えているのは最初と最後の挨拶で、肝心の会話の内容が一切覚えていない、綺麗さっぱり覚えていないのだ。
【強制夢】
で、オレは夢を見させ続けられた。
ほぼ強制的に夢を見させられた、これが苦痛だった。
夢を見るのではない、見させられる、オレは絶叫した、咳をしながら絶叫した。
そんな時、オレの夢に割って入ってきた人がいた、オレは瞬時に目を覚ました。
先に入院していた人で、オレの向かいのベットにいた人だった。
ベットのカーテンを開き、静かに言った。
「あんた凄いことになっているよ、今すぐ看護師を呼んで咳止めをもらえ」
そう言うとお爺さんは、自分のベットに戻っていった。
時間を見ると、まだ22時、夜の10時なのだ。
夜はまだまだ先が長い、オレは絶望した、咳をしながら叫び続ける夜が続く。
【深夜と奈落の底】
深夜、奈落の底に沈んでいると、若い女性がオレの体を触っている、すぐに若い看護師であることが解った。
オレの体温を測っている、オレは体温を測っている彼女の手の感覚が気に入って、このまま朝までいることを本気で願った。
寝ているのか、起きているのか判らない、咳と苦痛の叫びが続く。
そしてついに夜が明けた、暗い朝ではあったけど、寝ないでいることに安堵した。
二日目の夜をなんとかやり過ごすと、体が急に楽になった、悪夢は続いたけど内容は起きても覚えていられるようになった。
【さらばニコチン中毒の日々】
三度の食事は最大のメインイベントだった、薄味だけどまとまった量の食事を取れるのは、本当に嬉しかった。
三日目になると、酸素ボンベをお供に散歩できるようになり、一階のコンビニでイヤホンヘッドホンを見つけた。
夢中でパッケージをこじ開け、iPhoneに入っている曲を無我夢中で聞いた。
そしてあることに気が付いた、「タバコ」この三文字が綺麗サッパリ忘れていた。
ヒョッとすると、真夜中の絶叫と共に「ニコチン中毒」を体の外にはじき出したのかもしれない、今までタバコの存在を忘れていたこと自体が嘘のようだった。
タバコを止められるかもしれない、一時期は超ヘビースモーカーであったオレは降って湧いたような事態に驚いていた。
病室の外を見ると、真冬であるにもかかわらず大きな虹が出ていた。
生まれて初めて見る真冬の虹、タバコをやめられるかもしれない、いいや違う「やめよう」、そう思った。