渓流釣りを覚えたのは白神山地、当時は淵もしっかりとした水深もあったし、少しくらいの雨では濁りも入らなかった。
キャンプも白神山地で覚えた、熊も普通に居たけどお互いテリトリーを守っていたような気がする。
これがどこにでもある普通の山だと思っていた、長い間。
何の変哲のない山で、突然外国人と出くわす事が多くなった。
腹の出たデッカイ白人と秋田の山の中で、バッタリ出会うのだ、ビックリしますゼ。
何たって外人はデカイ、オマケに毛深いし熊とサイズがあんまり変わらない。
最初はオレは狸に化かされたと本気で思った。
こんな辺鄙な秋田の山に来る分けが、知りたかった。
ようやく山の中で出くわす白人の意味が分かった、彼らはたぶん世界遺産の調査員だったのだ。
オレはこんな普通な山が日本にはまだまだあるだろう、そう思っていた。
ところが、ここにしかないというのだ。
オレは驚いた、人の手が入っていない山がここにしかないのだ。
日本には多くの世界遺産がある。
見応えのある自然、歴史的な建築物などなど。
批判されることを覚悟していうけど、白神山地は観光地ではない。
人の手が入っていない山々があるだけなのだ、それ以上でも以下でもない。
8000年前には今のようなブナ林があったといわれている。
オレは白神山地が世界遺産として脚光を浴びることを恐れている。
人は理屈を付けるのがうまい、理屈が通れば人は何でもする。
白神山地が世界遺産であろうが、なかろうが、白神山地が白神山地であり続けるためには、人々から遠ざかるだけしかないと思っている。
オレは間違っているのだろうか?