独身の頃は渓流釣りをするときは、前日に行って夜を車で寝て朝早くから釣りを始めた。
以前は真面目だったのだ、今は誰よりも遅く釣り場に行き、誰よりも遅く釣り始めている。
夜一人で真っ暗やみの山中で寝るのは、今でも怖い。
幸いにも怖い目に遭った事は無いが、そのテの話はゴマントある。
10年前になるが、単独で白神山地で釣りをしていた。
どんより曇った日で、少し蒸し暑かったような気がする。
かなり遠くで音がする、耳を澄ますと祭りばやしの音が聞こえる、こんな山中でお祭りやってるの?
もちろんそんなわけがない、気が逸れると「祭りばやし」はもう聞こえない。
けれども、耳を澄ませば澄ますほど「祭りばやし」がしっかりと聞こえる、太鼓のリズムまでもハッキリ分かる。
これは幻聴だとそのつど自分に言い聞かせる。
しかし、そうすればするほど「祭りばやし」が聞こえる。
怖いとは思わなかった。
そのうち聞こえなくなった。
オレの知人はもっとスゴい経験をしている。
ある渓流がありその上流には大きな滝がある。
水量も豊富で滝の上は、きっとイワナの楽園があると思っていたらしい。
それで友人は釣り友達と、計画を立てそして滝を越えた。
滝の上は異次元の世界だった。
一切の音が無い、風の音も小鳥のさえずる声も無い。
広い場所は一面に砂地になっていてその中を細い流れがあるだけだった。
そして、驚くことに砂地には数多くの動物の白骨が埋まっていて、白骨の部分部分が地上に露出している。
目の前に展開されている現実に圧倒されたそうだ。
二人は来てはいけない場所に来てしまった感覚になり、即時退却。
その帰り道に別ルートを通ったため、熊の巣みたいな場所を通りサンザンだったという。
あちこちで熊のうなり声は聞こえるし、ガサガサ音はするし二度と行かないといっていた。
場所は奥羽山脈の、たぶんド真ん中だと思う。
もしそんな場所があったら、噂になっていると思うし、本当に異次元に入り込んだと思う。
オレの想像だけど「動物の墓場」みたいな場所かもしれない。
信じる、信じないはあなたの自己責任で。
とにかく、東北は縄文文化が色濃く残っている世界だと思う。
これは梅原猛氏の影響かもしれない。