By The Sea

初めての渓流釣りの人へ、街の喧騒を離れ出かけよう

熊被害と秋田県 (豊かな自然を取り戻せ)

マタギツキノワグママタギ独自の文化は消滅しつつある

【過去秋田県は狩猟大国だった】

今はどうかは解らないけど、昔は秋田は狩猟大国だった。

30万人都市である秋田市内にカモシカが迷い込むほど、奥が深い山々を持つのが秋田県なのだ。

熊の被害は毎年あるけれど今年は違う、この時期にしては異常に多い。

原因は明らかに夏の異常高温にある、長年渓流釣りをやっているけれど、水温24℃はちょっと記憶にない。

米の収穫は減っていないが、一等米がガクンと落ちその分二等米が増えた。

夏の異常高温が原因だけど、山のドングリやクリなども当然影響を受ける。

 

晩秋、熊は冬眠に入るため、とにかく喰いまくる。

約四ヶ月間絶食するため、10㎝くらいの皮下脂肪が溜まるまで喰いまくる。

喰えなくなった熊は山に見切りを付け、危険を冒して里に下りてくる。

 

熊の性質は粘着性で、一度決めたことは簡単には曲げない。

山の縄張りは強い熊に取られているので、喰えなくなった熊は必死だ、たとえそれが「街」であったとしても、皮下脂肪が溜まるまで山には帰らない。

【穴持たずの危険性】

当然だけど初雪がある頃でも、喰えない熊が出てくる。

冬になるとマタギがいう冬眠できない「穴持たず」の熊は、動く物は何でも襲うようになる、雑食から肉食になるのだ。

動物の肉で食って美味いのはたいがいメスだ、当然それは人間の肉にも当てはまる。

一度人間世界に入って人の性格を知ると、野犬と同じように熊も人を襲うようになる。

 

遠くで男性と女性の声が聞こえる場合、熊は間違いなく女性の声の方に向かう。

そして一度決めた獲物は、粘着性の性格のため簡単には諦めない。

考えたくもないけど、最大の悲劇は若い女性、子ども、そして乳児が襲われることだ。

熊は驚くほど柔軟に動く、一度クルマから走る熊を見たことがある、ビックリするくらい滑らかな走りをしていた、たとえていうならば大型の猫みたいな感じ

 

【鹿は森を食い潰す】

狼のいなくなった日本では鹿や猪が増えている、鹿は森を食い潰す。

生き残りを賭けた冬場、鹿は道路に撒く凍結防止剤である塩を喰うため、道路に出てくるようになったその結果、鹿の生存率が高まった。

鹿も熊も今の自然世界の状況の中で、行動しているに過ぎない。

昔は狼のやっていたことを、人間が取って代わり鹿を間引いている。

けれども、いつまでもやっていけることではない。

時間は掛かるけど、最良の方法を見つけ出さなければならない。

 

では、今の熊被害をどうするか?

餌を与え太って山に帰ってもらうか、射殺のどちらかである。

熊に精神的にも肉体的にもダメージを与え山に返しても、時間が経てば悲しいことにまた里に戻ってくる、何度も実験したけど結果は同じだった。

答えは射殺しか残っていない、餌付けは悲劇の幕開けでしかない。

白神山地と熊被害】

時々、考えることがある。

自然のバランスを回復する手段はないのか・・・と。

秋田県公式サイトにある、「令和5年度人身被害状況」で見る限り、白神山地周辺の人身被害はない、実際は熊は出没しているかもしれないが、人身被害は出ていないみたいだ。

白神山地世界遺産になってから、人間による開発が止まった。

1万年から8千年続く、豊かなブナ林は残されたのだ。

多少の気候変動による山の変化は、豊かな自然さえあれば最小限に抑えられる・・・のかもしれない。

 

熊だって生きるのに必死だ、人間の勝手気ままで追い立てられると、熊だって知恵の一つや二つ湧いて出てくる。

これから生まれる人や、今を生きている若い人のためにも、豊かな自然を取り戻さなければならない、一人の釣り人としてもそう思う。

豊かな自然を取り戻すには個人的に「オオカミを放て」だと思っている

令和5年の人身被害状況 秋田県公式サイトから