【ガイド役をしたときの話】
だいぶ前の話になるが渓流釣りで年配の釣り師と出会った。
彼は前の郵政省に勤めていた人で、元々は海釣りの人であった。
彼が言うことには省内での方向性を決めるため、徹夜で同僚達と打開策を模索する日々が何度もあったという。
積み上がる吸い殻の山、徹夜明けの疲れ、なかなか出ない打開策、そんな時に出会ったのが渓流釣りだったといっていた。
そんな彼とご縁があって白神山地の渓流釣りをガイドすることになって、何度も一緒に釣りに同行した。
ある年、素波里ダム上流を案内することになった。
彼は餌釣りでその日はよく釣れ持参したミミズを使い果たしてしまった、仕方なく出したのがイクラの餌で、そのイクラに予想もしなかった大物が掛かった。
【初めて見るサイズのイワナ】
彼の釣りのスタイルは少し変わっていた。
餌釣りの場合、上流に餌を投入して下流に流すといった方法が一般的だが、イクラを餌にしたときはこの逆の方法を取った。
つまり、イクラを下流に入れ自分が立っている上流に引き寄せてくるスタイルを取った。
広い流れが少し狭まり、流れが複雑で水深がある場所で彼は粘った。
そして彼はヒットさせた。
腰を落とし竿を立てた、しかし動かない、双方共に相手の出方をうかがう時間が少しの間過ぎた。
動いたのは魚の方だった、上流に向かいだした、その時初めて魚体が見えた。
で、で、デカイ、渓流釣りをやり出して初めて見るサイズのイワナだ。
二人とも一気に緊張の頂点に達した、「○○君、たも網頼む」と叫んでいる。
ネットを出したけどサイズ観がまるで違う、オレも彼も必死だった。
何度もネットインに失敗した、しかしオレと彼とイワナの三つのタイミングが合ったとき、成功した。
もう夢中で岸にたどり着いた、ようやく安心できたとき二人で歓声を上げた。
そのイワナは独特の鈍く光る色合いで56㎝もあった、歴戦を生き抜いてきた、正に魚ではあるけれど見事な風格を持っていた。
マス針は上あごに見事に掛かっていて9月の空の下、二人は嬉しくて嬉しくて何度も笑った。
【八郎太郎はイワナを食べた】
イワナは本当に不思議な魚だ、40㎝を越える辺りからイワナは一種独特の不気味さを漂い始める。
禁忌を犯す、みたいな美しさが大型のイワナにはある。
ヤマメまでが魚でイワナは魚ではないみたいな言い方は、56㎝のイワナを目の前にすると確かにそう思う。
秋田の鹿角に住む八郎太郎がイワナを食べ龍になってしまい、十和田湖を造ったという伝説は奇妙な説得力でオレを迷わす。
何でこうもイワナは上流を目指すのだろうか?
いつも考えるが上流の果てには海があるとイワナたちは思っているのかもしれない。
人のいない山の中で釣りをしていると、そんな馬鹿げた考えが頭を横切ることがある。
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【アウトドアでも使えるニーチェア】
インドアの椅子だけど、アウトドアで使うニーチェアは別格。
ドッシリ感がたまらないほど快適で、ゴマントあるアウトドア椅子を寄せ付けない快適性がある。
買って良かったと思っている。
冬のボーナスが自由に使える立場だったら、決断しましょ。(笑)
ちなみに数々の賞を取り、ニューヨーク近代美術館の永久収蔵品に選定されている
価格:36,300円 |